Bitter
『おい、次どこで曲がるんだ?』



『‥‥‥‥‥。』



『香坂?』



『‥‥‥‥‥。』




私はうつむいたままだ。




彼は小さなため息をついて脇道に車をとめた。



しばらく続く沈黙。




『‥‥‥‥香坂。ガキ扱いされたくなかったら、だんまりはやめろ。』



私はカァッと顔を熱くさせる。



『‥‥‥一つ前の角で、右‥。』



『オッケ』




勢いよく車は発進した。




なんだかきまり悪い。







『‥そういや、高瀬の用事って?』





『あぁ、忘れ物届けようと思ったんだ。
なんかお前っち近くみたいだな。方面一緒。』




『ふーん。‥‥‥って、忘れ物ってそれ‥?』



『え?あぁ‥』




高瀬のカバンのポケットから、明らかに女物の携帯電話が顔をだしている。







あぁ、好きな人。





『‥‥‥‥。』







私、その人の‥“ついで”ね。







知ってたけどね。






けど—‥









『…高瀬。』




『ん?』





『止めて。』



『は?』




『止めてってば!』



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