浮気心に春爛漫

序奏

「あ…」




あたしの足が止まった。


「ん?どした?」



涼ちゃんが、あたしの視線の先に気づいて、




「ふぅん。」





裕太と女の子はレストランから帰るところだった

あたし達には気づかず、見えなくなって行っちゃった…。



涼ちゃんはあんまり驚いてなかったみたいだけど、



あたしはどういうことなのかしばらく理解できなかった。



「…今日…バイトって…」



あたしはそれしかしゃべれなかったけど、


涼ちゃんはあたしの思ったことを察してくれたみたい。



「そっか きっとその帰りなんじゃん」



そうは思っていないことはわかったけど…



でも



その優しさが嬉しかった。



「ま、明日、一緒に行こうな」


涼ちゃんはそう言うと、


あたしの肩をポンと叩いて駅へ向かった。



そして


5mくらい先で振り返らずにあたしに手を振った。
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