浮気心に春爛漫
「へぇ〜。そんなかっこいい人がいるんだー。じゃ、そっちにしちゃえば?」



この子、永澤莉緒。



目がくりっとしてて、ハーフみたいな顔立ち。



ちょっと茶色がかった、つやつやのストレートボブ。






あたしの話を聞き終わった後、メロンソーダを飲みながら悠長に言った。




「でもね、その人ね、あ、涼ちゃんっていう名前なんだけど、
涼ちゃんにとってのあたしみたいな存在なんてたくさんいるのかなって。」





あんなにかっこいいんだもん、ちょっと声かけたらついてくる子沢山いるよね…







「涼ちゃん…か…」



莉緒は少し考え込んでたみたいだけど、また話し出した。



「そんなにかっこいいの?」



「うん。そうだなー、ちょっとつり目でさっぱりしたクールな顔。」



涼ちゃんを思い浮かべながら、莉緒に説明すると。



莉緒もあたしの話を聞きながら『涼ちゃん』に対して


そんなイメージを抱いていたみたいで、





「あ、ほんとに?あたしの想像もそんなイメージだわ。」



って莉緒がうなづいた。



「へぇ。」




名前と話だけで顔がイメージできるって、ある意味すごくない?







莉緒が言うには。





「あたしの小学校からの友達に涼介君って人がいたんだけど。

その人がまさにそんな雰囲気だったからかな。」




ふぅん。



莉緒の友達にも涼介君ってひとがいるのか。




すごい偶然。




確かに友達と同じ名前の人を見ると、友達のイメージを勝手にあてはめたりするかも。






しかも莉緒の友達の『涼ちゃん』もかっこいいなんて。


「りょうすけ」って名前にすれば誰でもかっこよくなるのかしら。









「あたしの大学の涼ちゃんの名前も涼介だよ。涼介って綺麗な名前だよね。

その人は名字が高野だから名字も綺麗だけどね。」




あたしが笑いながら言った。




苗字がきれいだなんてさ。


かっこよかったらすべてがすてきに見えちゃうんだよね(笑)




あたしは馬鹿か。

なんて思ってたら。


「あたしの友達も高野涼介なんだけど!!!!!」
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