浮気心に春爛漫
「なにそれ!!!まじありえない!」



莉緒から聞いた話を奈々子に話したら、あたしの代わりに怒ってくれた。


あたしは悲しみの方が大きくて、怒ることなんて忘れちゃってたから、


奈々子が自分のことのように怒ってくれて少しすっきりした。




「じゃぁ涼ちゃんは何で玲奈を誘ってたの?」


なんでってあたしが聞きたいよー!!!



「けどね、そういえば、あたしが彼氏いるよって言ったとき、

『恋人いたって恋はして良いでしょ』

って言ってたことを思い出した。だからきっとあたしのことは本気じゃな…」



あたしが最後まで言い終わらないうちに、奈々子は席を立った。




どこにいくの?


ん?


修ちゃんのとこ!?


え!?


まさか!?



「ねぇ、涼ちゃんって彼女いるの?」




やっぱり…。


奈々子はいつもあたしのことになると一生懸命になってくれる。



ほんと頼もしくって優しくって。


けど、今日涼ちゃん学校来ない日で良かった…。




「え?なんで知ってんの?」



修ちゃんが一瞬あたしをちらっとみた。


「出所はいいの。玲奈も知ってる。で、本当にいるの?」


「…いるけど…」



本当なんだ………


そうだよね。


涼ちゃんみたいな人が、あたしなんか本気で好きになるわけないよね。


本命の彼女はちゃんといて、あたしはただの遊び。


遊びって言えるほど気持ちも向いて無いかもしれないよね。


あたしがしゅんとしてたら、


「いるけど、今アイツ放浪の旅に出てる最中だよ。」




「え?」
「え?」


奈々子の声とあたしの声が重なった。


「どういう意味?」


奈々子より先にあたしが聞いた。



「どういうって…玲奈の前でオレから言う話じゃないよ。ま、そのうち涼介から話すと思うよ。」



修ちゃんはそう言って行っちゃったけど、


それは良くない事実を隠したんじゃなくて、良い事実を言えなかったんだってことに気づいたのは、


ずいぶん後のこと。
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