恋愛磁石

偶然とその後




「――はいっ、終わり。ちゃんと病院行ってね」


「あー、大丈夫です。テーピングなら自分で出来ます。得意ですから」



包帯でグルグル巻きにされた右手。

それを顔の横に持ってきて苦笑いするあたし。


保健の林先生は「ダーメ」と言って立ち上がると、
何枚かの書類を持って来た。



「病院で診察してもらったら、これに詳しいこと書いてもらってちょうだい。学校でした怪我だし、保険金おりるから」


「はーい」



自由の利かなくなった右手を睨みつけて、唇を尖らせる。




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