偽装婚約~秘密の契約~




怒って部屋に戻った沙羅。

沙羅の部屋からは物音1つしない。



『瑞季、沙羅の様子…見てきてくれ』


『イヤです』


そんな瑞季の返事に思わず顔を上げた。


ホントに瑞季は変わった執事だ。

普通、執事は主人に絶対服従なはずなのにこうしてたまにイヤだとはっきり言うときがある。



『晴弥様が見に行かれてはどうですか?』


そう言う瑞季の目は俺を挑発していて。



『俺だってイヤだ。

なんで俺がアイツの…』


心配しなきゃならないんだ、そう言いかけてやめた。

だって初めに沙羅の様子を見てこい、と言ったのは俺なんだから。




『いつも強気なのに晴弥様はこういうとき、ものすごく弱気になる。

昔からそうですよね』


瑞季を思いきり睨むが、なんのこともないような顔で瑞季は続ける。



『そんなんじゃ沙羅様…私が奪ってしまいますよ?』










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