偽装婚約~秘密の契約~




俺の大事な沙羅?


『お前…まさか沙羅が好きなのか?』


なんとなく、前からそんな気がしてた。

月島は沙羅に好意を抱いてるんじゃないか、って。



『アホか、お前は。

俺にはちゃんといるんだよ、将来の嫁さんがな。


沙羅は俺の妹であり、親友なんだよ。

だから、俺の大事な沙羅。


遊馬、心配しなくても大丈夫だぞ』


そのあとバカにしたような笑い声がまた聞こえて。

また腹が立った。


きっと、コイツと俺じゃ相性が悪いんだ。

よくこんなヤツと付き合ってられるな、沙羅は。



『おい、月島。

無駄話はここまでだ。


沙羅がお前にとってどんな存在なのかはよく分かった。

だから、沙羅を返せ』


俺の斜め後ろで瑞季が心配そうに俺を見ていた。

いつの間にか森本も戻ってきていて入り口で瑞季と同じような目で俺を見ている。



『だから、言っただろ?

沙羅はお前に渡せねぇーって。


さっき、聞こえなかったか?』


バカか、コイツは。

聞こえててもう1回言ったんだよ。


なんだかコイツと話すのは疲れる。







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