Eye-Contact

「陽…どうした?」
悠翔が心配そうに尋ねても、あたしにはそれを笑顔で返す余裕なんてなく…
ただ、
首を横に振るのが精一杯だった。

その後の練習に身が入ってなかったのは言うまでもなくで…あたしはとことん弱いのだと感じた

監督の言葉が蘇る――


“お前は弱いと誰からも必要となんかしてもらえないんだ。お前の母親だって、お前が弱かったからお前を捨てていったんだろ?愛して貰えなかったんだろ?…お前は強くないといけない。バスケットにおいて、お前が強い限りチームは、俺はお前を求めてやる。だから強くなりなさい”


あたしは無意識に悠翔の腕を力一杯に掴む。

「陽?」

『捨てないで…』
きっとこの声は小さすぎて悠翔には聞こえていない…

「今日、変だぞ?」

『……苺ミルク』

「は?」

『苺ミルクが飲みたい』

――ねぇ、悠翔
悠翔はあたしが苺ミルクが好きだっておもってるみたいだけど…
本当は嫌い。

だってこれはあたしが弱った時に自分に“頑張れ”って意味で昔から飲むクセ

飲むたびに過去に戻ってしまう。

これを飲む回数が
あたしが弱くなった回数…


お母さんを求めた回数――

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