遠くから来た男の子
丘の家というのは、町から離れた小高い丘の上に建っている
古くからある空家のことです。

今ではすっかりツタにおおわれていますが、
当時は白く輝き、その土地の地主が住んでいたそうです。

庭にある白や黄色の花をつけている木々は、
甘くていいにおいをただよわせていました。

大人たちは「あの家にはけっして近づいてはいけないよ。
魔物が住んでいるからね。魔物は、おまえたち子供の耳も頭も喰っちまうんだよ」と、いつも言っていたので、

子供たちは皆、恐れて近寄らないようにしていました。
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