サラリーマン讃歌

～梓の悩み～

昨日の帰りに早速連絡をとってもらい、今日の昼に梓と会う約束を取り付けてもらった。

俺は約束の時間よりかなり余裕を持って家を出た。

久保が気を利かしてくれたのか、今日は彼の家で会うことになっている。

俺は久保の住んでいるマンションに着くと、部屋番号を呼び出し、インターホンを押した。

「どうぞ」

と言うと同時にオートロックがかかっていた扉が開く。

エレベーターに乗って久保の自宅前まで来ると、再びインターホンを押した。

「どうも」

久保が出て来ると、軽く会釈して俺に入るように促した。

「お邪魔します」

俺がリビングに入ると、ちょこんと梓がソファに座っていた。

俺が入ってきても、こちらを見るでもなくただ呆然と座っていた。

俺は梓の前まで近寄って行くと、彼女に向き直り姿勢を正した。

「梓ちゃん、この間は本当に申し訳なかった」

俺は精一杯の気持ちを込めて、深々と頭を下げる。

しかし、梓からは何の反応もなかった。

「俺の苛立ちをあんなによくしてくれた梓ちゃんに対してぶつけてしまった。俺が八つ当たりしてしまったのは言い訳のしようもない」

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