サラリーマン讃歌
その時、反対側の歩道から、何人かでじゃれあう様な、甲高い若い女性達の声が聞こえてきた。

慌ててそちらに目を遣ると、遠目でよく見えないが、ブレザー服っぽいのを着た女の二人組が、何やら楽しそうに喋りながら歩いている。

瞬間的に、ドキンと心臓が高鳴った。

その二人組は駅に向かっているのか、だんだんとこちらに近付いてくる。

「でさぁ、またしつこくメールしてくんの」

「マジウザいね、そいつ」

暫く目を凝らして見ていたが、空見子ではなかった。

それを確認すると落胆する気持ちと、なぜかホッとする二つの気持ちが共有していた。

(何ウジウジしてんだよ、三十のおっさんが!)

そんな怒りに似た気持ちと葛藤しながら、帰宅の途についた。

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