サラリーマン讃歌

~告白~

漸く暇を作る事が出来た俺は、次の土曜日に空見子と会う約束を取りつけた。

凍て付くような真冬の二月に出会ったのだが、既に雨の季節である六月に変わっていた。

空見子を想い続けて、もうすぐ三ヶ月半が経とうとしていた。




その日の朝を迎えると流石に緊張してきた。外は朝から快晴であった。

約束は昼の一時半なのだが、今日は妙に早く目が覚めてしまい、何をするでもなく昼までの時間を潰した。

早めに家を出ると、待ち合わせ場所である空見子の最寄りの駅へと向かった。

そこの近くにあるファーストフードの店で軽く昼飯をとり、約束の時間の二十分ほど前にその店を出た。

「お待たせ」

約束の時間に十分程遅れて、空見子がやって来た。

「ゴメン。待たせちゃったよね?」

「いや、全然待ってないよ」

「……嘘ばっか」

そう言って微笑む空見子の視線の先には、俺が吸い終わった大量の煙草があった。

「いや、違うんだ。時間的にはそんなに待ってないよ、ホントに。ただ緊張して……」

「緊張?なんで緊張するの?」

「いや、緊張とかじゃなくて……あの……」

「……変なの」

言い訳すればするほどドツボに嵌っていく俺を、空見子は笑いながら見ていた。

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