サラリーマン讃歌


「え?」

言葉の意味が解らない俺は、呆然とした面持ちで聞き返す。

「私みたいに汚れた子はサクくんには勿体ないの!!」

空見子は突然感情を爆発させた。

叫ぶように言うと、勢いよく立ち上がり、脱兎の如く走り出した。

「待って!意味がわかんないって!」

突然の出来事に何が起きたのか理解出来ていなかったが、反射的に空見子を追う。

「来ないで!!」

走り続けながらも空見子が叫ぶ。

「どういう事なんだよ!?」

納得がいかない俺は、空見子の言葉を無視して追いかけ続ける。

「お願いだから!ほっといて!」

「ほっとけ…」

「お願い!!!」

俺の言葉を遮る様に言う空見子の勢いに気圧されたように、足がピタリと止まった。

激しい動悸とともに遠ざかっていく空見子を目で追いながら、俺は立ち竦んだ。

「なんで……」

未だに何が起こったのか理解出来ていない俺は、かなりのパニック状態だった。

目で追っていた空見子の姿が、建物の影に隠れて見えなくなった……

(……どうして?)

俺の頭の中で様々な思いが、凄まじい勢いでグルグルと回転していた。

(……なんで?)

そんな思いが大きな渦となって形造られ、ついに頭の中で炸裂した。

「なんでなんだよおおっっーー!!」

辺りに俺の叫び声が木霊した……

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