赤い鈴
「え~とね、確か100年に一度人間狩りっっていうのがあるらしくて、鈴の音に惑わさ

れて音のする方へ行くと、そこには『もう一つの学校』があるらしいよ~。でね、その学

校へ行っちゃうと……二度と同じ世界に戻れないんだって~!」

希衣菜がわざと怖く言った。

「んで、散々学校で迷わされた挙句最後には殺しちゃうんだって~」

え……私殺されるのか?

「あははっ大丈夫だよ!」

希衣菜が笑って言った。

「何が?」

春陽は首をかしげた。

「だーかーらあ、何があっても私がアリスを守るっていうこと!」

希衣菜……私、私、ものすごく不安なんだけど!

「えー、私は?」

春陽がいじけてほっぺをプー、と膨らませた。

「もちろん、春陽もね!」

「希衣菜……本当のこと言うとめちゃくちゃ不安だよ!」

「なにおー?」

「冗談! 守ってね、希衣菜!」

「うんっ」

二人が漫才をしている間、私はずっと鈴のことを考えていた。

なぜ私なんだ? 

私を殺してどうするんだ?

「アリス? 何うなってんの?」

「そうそう、ない頭を使ったらもっと無くなっちゃうよ(笑)?」

春陽がそう言って私の頭をポンポンと叩いた。

「こ、こら! 頭は触るなって言ってんでしょ!」

「あはは~そっかあ、頭触っていいのは愛しの彼だけなんだよねぇ」

春陽がニマニマと笑った。

「おだまんなさいっ」

私はそう言って春陽のほっぺをつねった。

「いひゃい、いひゃい! ごへんははい」

-捕まえたあ-

え? 今確かに……

「おい、今何か聞こえなかった?」

私は手を止め、春陽と希衣菜に聞いた。

「いったあ~聞こえたって何が?」

「なんも聞こえなかったよ?」

二人がそう言った瞬間……

「きゃああああ!」

先生の悲鳴が聞こえた。

< 5 / 12 >

この作品をシェア

pagetop