PM13:00 2


--------------


SHR後の休み時間。

不意に気配を感じて、机に肘をつけ掌に頭を乗せて俯いていた顔をあげると、五十嵐亜美の大きな瞳と目があった。

「あ、あの、七澤君。劇…お互い頑張ろうね。」

五十嵐はそう言って照れたように笑って、掌を出してきて。

「…ああ」

小さく頷いてそれを握る。
五十嵐も、軽く握り返してきて、

俺は手を離そうと力を緩めた。

しかし

ぎゅっと、俺の手を握る五十嵐の手に、力が入った。

見上げると、五十嵐は変わらずはにかんだような笑顔で―いや。

…何か、違う。



俺は五十嵐の笑顔に陰を感じ、眉を顰めた。



…なんだ、こいつ。



「私、ずうっと、七澤くんのことを尊敬してて。だから、今回のこともすっごく嬉しいの」

そう言って

気味の悪い甘さを含んだ瞳で見つめてくる。


俺は目を細めて、口端だけで笑い返した。



「………どうも」
< 11 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop