PM13:00 2


「まあ、それは冗談ですが」

逢沢は中指でめがねを軽く押し上げると、口端を片方だけ上げて言った。

「あの冷血な会長が、だんだんと人間らしくなっていくのを見るのは嬉しいし、楽しいんですよ。」


そして、今までみたこともないような柔らかい笑みで、照れたように続けた。



「人を変えるんですねえ、恋は」




…その時、嘘でもそれを否定できなかった俺は。

妙な敗北感を、味わったのだった。


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