GIOCO
何も言わずに南雲は潤次に攻撃を仕掛ける。
だが、右手を押さえられた。
素早くポケットの中身を取り、距離をとった。
「…ネックレス?」
中に写真が入っている。
写真には笑顔で笑っている一人の女性。
「それオレの恋人」
南雲は静かに潤次に近付きながら言った。
「ガンでもう長くないんだ。治療すれば治るけど金がない。だから、金が必要だったんだ」
優しく哀しそうに微笑んだ。
その微笑みは恋人の為のもの。