ハピネス 〜女になった私〜



新大阪の駅には、ノブくんのお兄さんが迎えに来てくれていた。



「初めまして。伸幸の兄の政樹です。」


「初めまして、高原未希です。」



お兄さんは、笑顔で私達を迎えてくれて、何も聞かないまま、車に案内してくれた。



どことなくノブくんに似ている表情と、ノブくんと同じ声。


久々の兄弟再会を喜ぶ様に、仲良さそうに話す二人を見て、少しだけ緊張を緩める事が出来た。



「ノブ、未希ちゃんホンマかわいいなぁ。どんなん連れて来んねやろってちょっとビビっとったけど、見た瞬間に“なるほどなぁ〜”って思ったわ。あっ今の失言?大丈夫やった?」


「大丈夫やんな未希、な?それより、オカンらどう?」



「朝からお祭り騒ぎやで。」



バックミラー越しにお兄さんと目が合う。


とっさに目を逸らして俯いた私に、



「未希ちゃん、覚悟しときや〜?うちのオカンは怖いでぇ〜」


冗談なのか、本当なのか・・・必死に笑顔を作っても、自分で分かる程の苦笑い。



「兄ちゃんビビらさんといてや。ただでさえ緊張してんねんから。未希、大丈夫やで。」



「ははは。まぁ口調はキツいけど、話は通じる人やから。ノブおるし心配せんでえーよ。俺もお前らの味方やからな。」


もうこの時点ですでに泣いちゃいそうだよ。



不安な気持ち以上に、お兄さんの言葉が嬉しかったし、心強かった。




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