ハピネス 〜女になった私〜



外はすっかり暗くなっていた。



夜景を見ながら手を繋いで、車の中で何度もキスを交わした。


こっそり目を開けると、大好きなノブくんが、目を閉じて私にキスをしている。


カッコいい・・・



胸のドキドキが激しくなって、私の体はシートに張り付いた様に動かなくなってしまった。




「あの合コンの日な、拓に性同一性の子が1人おるからって聞いとってん。でもまさか未希ちゃんやとは思わんかったわ。」



低くて優しい声が静かに車内に響く。



「どうして?」



「だって1番可愛いかってんもん。声だって女の子みたいやし。」



私の髪を撫でた後、ノブくんはまたキスをしてくれた。



「私だって分かって残念だった?」



「うーん・・・すごいなって思った。自分の事をあんな風に話せるのは、すごいなって思ったよ。」



全然すごくないよ。

だって私は、



そう言おうとした私の言葉は、ノブくんの“でもっ”に遮られた。



「実際の未希ちゃんは、臆病で、自分に自信のない弱い女の子やった。それでもいっつも笑ってて、一生懸命な未希ちゃん見てたら気付いた時には、めっちゃ好きになってた。」




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