7月7日、逢いたくて


織姫と彦星は、互いを想いながら歳月を積み重ね

一年に一度だけ、天の川を越えて逢う事が出来る。



離れていても
心は繋がってる、と

そう、信じて―――。





「…織葉さん?」

どうしました?と声を掛けられ、あたしは振り返る。


立ち尽くすあたしに
投影機の点検を終えた館長が、視線をあたしの手元に移した。



「これ…、」

震える声で
館長に視線を送る。



…答えが欲しかった。


この感情の答えが
ずっと、ずっと知りたくて。




館長は笹の葉からその短冊を外すと、目尻をくしゃくしゃにして笑った。

耐え切れずに、あたしの頬に涙が伝う。




そして―――…。





「彼方くんの願いは、叶いそうですね。」



そう言って
館長が名前の書かれていない短冊を、あたしに手渡した。

ポタリ、と水色の短冊に涙が染み込んでゆく。




ぎゅ、と短冊を胸にあて
あたしも館長へ、笑顔を返した。

そしてあたしは走り出す。




ただ一つの答えへと、導かれるように。






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