7月7日、逢いたくて

【invisible star】



……………


「…葉さん!織葉さんってば!」

「……え?」

「どうしたんですか?ぼーっとしちゃって。」


上映終わりましたよ?


そう言われ、はっと我に返ったあたしはきょろきょろと辺りを見渡す。


おきちゃんが言った通り
さっきまでお客さんで埋められていた客席は、いつの間にかもぬけの殻になっていた。



そこでやっと
あたしは今の状況を理解する。


「…ごめん、」

はぁ、と息を吐き出し
解説台を下りるとおきちゃんが心配そうな声で聞いて来た。



「…どうかしたんですか?」

「…………、」

「顔色、よくないですよ?」

「…ん、大丈夫だよ。」

「それならいいですけど……。」


そう言いつつ
おきちゃんは未だ納得出来てないように眉を下げた。

だけどあたしが引きつった笑顔で頷くと、渋々背中を向けてドームを出てゆく。



そんな彼女の後ろ姿を見送って
あたしはもう一度大きな溜め息を落とした。

そして手のひらで額を覆う。



…あたし、本当最低だ。






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