世界は変わる ー俺様の愛した男ー【BL】
顔を上げると、そこに立っていたのは……
見たことのない、男子生徒。
ゴツゴツした大きな手が、テニスボールを包み込んでいる。
奴はその手を、無言のまま俺の目の前に差し出した。
俺とそいつの身長差、約5センチ。
「……このボール、お前のだろう」
何も言わない俺に、奴が尋ねた。
凛とした、その声。
射抜くような、視線に……
俺は思わず、絡み合う視線を断ち切った。
俺と、奴の間に……
春にしては、少し冷たい風が吹き抜けた。
「…いらないなら、俺がもらっていくが」
奴は怪訝そうな顔で、俺を見ている。
無性に、苛立った俺は……
そんな奴の手から、乱暴にボールをもぎ取った。
突然のことに驚いたのか、奴は一瞬目を見開いたが……
何事もなかったように、元の表情に戻った。
『………気に食わねぇ』
なんでこの俺様が、庶民に“お前”などと言われなきゃなんねーんだ?
それに、こいつの目……
俺を見下しているようで、腹が立つ。
………………!!
まさか、こいつ………
「お前、名前は?」
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