恋*クル


「あー、俺、学校に戻らなきゃヤバイかも」



あたしの心のなかに、ぽっかりと大きな穴を開けてくれた信一くん。

そう言って、立ち上がった。



「また、放課後に来ます。俺が来たこと、アニキに伝えといてください」

「……うん、分かった」

「それじゃ」



信一くんは……知らないんだろうな。


慕っている武人が、この学校ではヘタレ男であること。

そして、毎日のようにあたしに付きまとっていること。


武人が手作り弁当を届けている相手が、

信一くんが気に入っている麗じゃなくて、あたしだってことも……。


< 84 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop