戦国サイダー
十帖 蜂蜜色
雨が止んだとはいえ、山道、ましてや獣道同然となれば道の状態は限りなく悪い。


それでも鬼虎はどうってことなく坂道を下りてゆく、上手いこと歩きやすそうな場所を選んで。


足が痛むわけでもないのに背負われてしまった私は、歩かなくて良かったかも、とちょっとだけ思う、うん、ちょっとだけ。



だって、こけたり滑ったりしたら、またきっとせせら笑いを浮かべそうだし。


ドジだの間抜けだの、散々嫌味を言われそうだし。



お互い夕立ちに濡れてるから、いやそれ以前にいくらなんでも密着はしたくないから、背中にくっついてはいないけど。


この状態で無言も居心地が悪いから、私は何気なしに質問をぶつけてみた。



「あのさ、何でこの道知ってるの?」



鬼虎が我が家に来てから、外に連れ出したのは昨日の買い物のみ。


勝手に外出したことはあったけど、そのときにでも裏庭に回ったんだろうか。


 
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