戦国サイダー
何も変わらず、だからこそお互い良い距離感で笑うことが出来る……いや、相変わらず虎は笑顔なんか見せないんだけど、なかなか。



ただ敢えて言うなら、以前のような無謀というか失礼極まりない行動に出ることが減ってるのかな。



……うん、前みたいにいきなり掴まれたり、壁に押しつけられたり、キスされたりすることは無くなった。





今日もいつもと変わらず、虎は惰眠を貪っている。


縁側で仰向けに、あんだけ紫外線を浴びて、そんなに黒くならないってんだから、羨ましいを通り越して不自然極まりない。


そんな虎が見える位置で、私は今日も読書を続けていた、のだが。



突如珍しく携帯電話が着信を告げるメロディを流し始めた。


慌てて携帯電話を開くと、発信者は兄。


通話ボタンを押し「もしもし」と言おうと思った瞬間、兄の能天気な声で「楽しんでる?」と聞こえてきた。



「……何が」


『何が、って素っ気ない妹だねぇ。元気してる?』



開口一番「楽しんでる?」って、私は別にリゾート地で浮かれてる子じゃありませんから。


 
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