戦国サイダー
どうして? と疑問符を浮かべた私の方へ、兄が顔を向けた。


気持ち悪いのに、ふんばる笑顔が怖い。


 
「だって、今までずっと二人っきりだっただろうに、一回もヤってな……いてっ!」


「何の話だ!」


「ちょっ、鳩尾はダメっ……吐くっ……」


「吐いてしまえ! で自分で片づけろ!」


「まっ……わかったっ、謝るって……!」



その気色悪い笑顔で何を言うかと思えば。


何でこういうときにお盆を持ってないんだろう、私は。


足で蹴るより、確実にダメージが与えられそうなのに……角で。



「……俺が悪かったのでこれ以上怖いことは考えないで下さい……」



蹴りから逃れた兄が、さっきよりもぐったりして頭を垂れた。


もうほんっとこの馬鹿兄貴の考えることはわからない。


 
「お兄ちゃんは思李のことを想って協力してあげようかと……」


「あ、そういえばここに鎌置いてたような」


「ごめんなさい」


 
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