戦国サイダー
確かに「絶対忘れないって言ったくせに! 天罰が下って死ぬなんて残念ですね!」といったちょっと強い女性のようにも思えるし。


「私のことは忘れても構いません。でも貴方に天罰が下らないか心配なのです」という感じの健気さがあるような気もするし。



「どっちだと思う?」なんて当時まだ小学生だった私に聞く父も父だけど、勿論わかるわけもなく、ただその内容だけが心に残った。



でも今なら。



「私は忘れられても大丈夫、でも貴方に天罰が下るのかもしれないと思うと失いたくない」



そんな無理して強さを見せて、でも本当はわがままな心を持っている女性なんじゃないか、と思える。



神に愛を誓ったが為に、自分を縛りつけ、相手を独占したくなる気持ち。


心の底から愛したからこそ、天罰が下るかもしれないとさえ思う気持ち。



尤も真意は本人以外にわかるわけがない。


本当はもっと軽くて「忘れられたって私は平気だけど、浮気ばっかりしてると天罰が下っちゃうんだから!」なんて、ちょっとしたやきもちだったかもしれないし。



だけど私は、そこまで相手に重しをかけたくない。


わがままを言って、相手を困らせるようなことはしたくない。


好きだからこそ、何よりも一番相手のことを考えたいと思う。


 
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