戦国サイダー
二十帖 秘色色
まだ日は落ち切っておらず、山の端は橙色に、天空は紺色に。


曖昧に混じり合った二色がとても綺麗だった。



田舎の夏祭りといえど、近郊から遊びに来る人は多い。


小さな港からは花火も上がるし、出店なんかもたくさん出る。



本当は昼間に神事として神輿巡行もあるみたいだけど、それは地元に密着した小さなもので。


やはりわいわいがやがやと色めきだった夜の時間が、田舎の皆の楽しみになっていた。


大人の人たちは酒盛りに、子どもは出店の食べ物やゲーム目的に。



そのちょうど間ぐらいの私たちは、やっぱり恋愛ごとの一大イベントなんだと思う。


二学期が始まれば、まことしやかに誰々が一緒にいたよ、なんて話題が囁かれる。



でも人はたくさんいる。


お祭りなんて案外自分たちのことしか見えてないもので、実際噂なんてごく僅かなもので。



私は虎を連れて歩いても、どうせ人ごみに紛れてわからないだろう、と考えていた。


 
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