戦国サイダー
「愛してる」だの「好きだ」なんてくだらない言葉も、名前を呼ぶ声もない。



ただ互いの肌が触れ、熱を帯び、唇が降り注ぎ。


時折私の髪を指がくしゃくしゃにし。


時折私の指が背中に爪を立て。



ひたすらに、互いを求め合うだけ。



クーラーのない、窓を開けただけのこの部屋で。


真夏の夜の熱気に当てられながら。



汗をまとい、吐息をまとい。


その瞳を見つめ、魅入られ。





ぐちゃぐちゃに、なるだけ。



互いの境界線なんてないぐらいに。


 
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