嫌いな男 嫌いな女

「あ、……実は俺も」

「え? なにが」

「バカだなお前に決まってんだろ。他にもあったんだよ」


バカは余計よ。
巽は部屋の隅にある段ボールに近づいて、ごそごそと中から色んな物を取り出して私に手渡してきた。

私に、プレゼント? 他にも、あるなんて。
巽がこんなに用意してくれていたなんて。



「開けていいの?」

「おー……」


恥ずかしそうにしているけれど、そう言ってくれたから、遠慮なく包を開いていった。
嬉しくて、そわそわしっぱなしだ。


中からは、かわいいケースに入った化粧セットに、小さな花のついたブレスレットに、ピンクのレースが散りばめられたポーチ。

なんでこう、どれも私の趣味にぴったりなんだろう。
なんで、わかるんだろう……。


「買うの、恥ずかしかった?」

「うっせーな」


毎年、ふたりしてお互いにプレゼントを用意してたんだね。
渡せないくせに、毎年毎年、用意して、同じように部屋の隅っこにためこんでいたんだ。

私たちほんと、ばかみたいだ。
沙知絵にあんなふうに言われても仕方ないかもしれない。


ここまで来るのに、3年もかかってたなんて。
ううん、もしかするともっと、もっと前からなのかもしれない。

ずっと前から、同じ気持ちで相手を見ていたんだね。

なんで、気づかなかったのかな。なんで、ずっと意地張っていたんだろう。
失っていた数年間がとてもとてももったいなく思った。けれど、だからこそ、こんなに幸せなのかなあ。
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