Mr.キューピッド

「それはそうとナナト、」
「はい？」

勝手に頭を抱えて考え込んでいたら滝本さんに話し掛けられて、失礼がないように体勢を整え直す。

「この前くっつけたあの２人、来月結婚するらしいぞ？」
「え？」

この前くっつけたあの２人って……病院でやった仕事のターゲットのこと？

「随分早い結婚ですね……」

あれからまだ１ヶ月くらいしか経ってないのにもう結婚？
相性が抜群だったのかな？それとも愛が深まったとか。

「とりあえずお前が受け持った仕事でゴールイン出来たのはあの２人が初めてだ。」
「ああ……」

言われてみれば……そうかもしれない。
今までに受け持ったカップルはまだ付き合っている段階だった。だから、今回の２人で結婚したのは初になる。

「良かったなナナト。」

滝本さんは優しく笑いながら、俺の頭に手を乗せてクシャクシャと撫で回してきた。
若干擽ったくて、そして嬉しくて。自然と笑顔が顔から溢れてくる。

「ありがとうございます。」

滝本さんがくれた笑顔で、褒めてくれたことへの感謝の気持ちを述べる俺。
撫でなれながら褒められただけでこんなに胸が高ぶるなんて、俺もまだ輝明みたいに子供な部分があるんじゃないかって少しだけ思った。