オモチャのキモチ【短】
「やだなあ。
そんなに大事なんだ?」


「るせえ。
用ないんなら、消えろ。
俺は今、マジで気分悪ィ。」


彼の声は先刻より更に低くなっていて、キレたら何をするか判らないと噂されている狂犬のような彼のスイッチが入りそうになっているのが彼女達にも容易に伝わったみたいだった。


「ち、ちょっかいなんて出してないって。
あ、そうだ、購買に行かなきゃ。」


口の中でこね繰り返したようにゴモゴモと言いながら、彼女達は後ずさり。


そうしてバタバタと教室を出ていった。


他に残っていたクラスメイトも、彼の視線に気付くと1人、また1人と居心地悪そうに出ていってしまう。
< 3 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop