続きは、社長室で。


妾なんて、分かってた。


日陰の女なのだと、分かりきってた。




だけれど・・・・



「東条は、近いうちに婚約者と結婚するんだよ。

自分だけが、幸せになろうとしてるヤツだぞ?

その隣で君は一生、生きていけると思うか?

俺が君を幸せにする…、もう離れた方が良い――」



こうして他人に、言われてしまうと・・・




拓海の、優しかった笑顔と瞳も。


抱かれた時の肌の温もりも、激しいキスも。


いつも漂う、ホワイトムスクの香りも。


今までの決意も、僅かな幸せさえも。


社長を愛した、自身のキモチまでも。




すべてが、虚無となっていく・・・・





「君を好きでも、強引に攻めるつもりは無いよ。

俺は“君の意思”を尊重したいからね。

だけど早い方が、佐々木さんの為だと分かってくれ。

君の未来を閉ざすヤツの傍にいようが。

そこにはもう、何も残されないともね・・・」


そんな言葉のあと、電話は切れてしまった。




「・・っう・・っ・・」



無機質な通話終了音が、泣く私をさらに苦しめて・・・







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