花火


「隼人…パパって呼んでいい?」


「ふざけんなよ」


隼人が私の脇腹を勢いよくくすぐる。


2人で思いきり笑ったあと、隼人は優しく微笑んだ。


部屋の空気が一瞬にして変わる。


長い沈黙。


本当は少しの間だったのかもしれない。


でも私には永遠に続いていくかのように感じた。


緊張感のある、だけどとても神聖で柔らかい空気。


隼人の手がゆっくりと私の髪に触れた。


流れるように私の髪をすり抜ける少しひんやりとした手。


「夏花、好きだよ」


< 60 / 75 >

この作品をシェア

pagetop