キミヲモイ。

そういえば、修二は運動が得意だってイメージだった。

何らかのスポーツをやっていそう。

でも二人乗りのとき、そして今現在必死で足を働かせて、重い息を吐きながら肩を上下させている。


――本当はそうでもないのかも。


ただのイメージだな、うん。

だって実際スポーツをやっているところを見たことはない。


修二がここに転校してきた小4から、ずっと野球に誘っているけど、いつも“苦手なんや”の一点張り。

でもいつもヘラヘラして余裕そうな表情してる修二の言葉に、誰も納得しなかった。


ピアノだってそうだ。

ピアノをやっていると知ったとき、小学校ので弾いてとお願いした。

渋々承諾してくれて、クラスの皆に囲まれてピアノに触れる修二。

でもまともに触れたのは、利き手じゃないはずの左手だった。

しかもそのときの曲がリズミカルな童謡。

修二の家にはもっと難しそうな楽譜があったのに。

絶対あれ以上弾けるのに、どうして見せてくれないんだとしつこく問い詰めていた。

そのあとも相変わらずヘラヘラしていて、僕はそれ以外怒った顔と初めて会ったときの驚いた顔しか見ていない。




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