キス友。




「このシチュエーション、ないよな」


「へ」


シチュエーション。


授業中の廊下ってこと?


「美空」



一瞬にして、背中に冷たい感覚が伝わる。


奏太は耳元で囁く。


「声、あんま漏らすなよ」


「は、―――っ」


不意に唇を塞がれる。


「―――、ん」


最初は重なるだけ。


その内、深く、深く。



「は、っっ…」



『χはここに代入して―――』


どこからか聞こえてくる先生の声。


「ん、んっ…は、ぁ…っ」




“聞こえたらどうしよう”


そんな気持ちが、あたしの心を燃えさせる。






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