愛しキミへ、この歌を


なんでそんなこと考えるんだ。
俺が彼女と並んで音楽を考えていい訳がない。




考えだすと止まらなかった。
ふつふつとそのような感情が浮かんできて消えてくれない。
ひどく気分が悪い。



突然立ち上がった俺を彼女は驚いたように見上げる。



「俺、用事あるから帰る」
冷たく言い放つ。
もう彼女と関わらなくてもいいように。



なのにまた彼女は気にした風もなく、ふわりと笑う。
「今度は晴樹くんの歌聞かせてね」



俺はそれに答えることもなく足早に立ち去った。


< 37 / 55 >

この作品をシェア

pagetop