あいつの犬〈短編〉



 


―――

――





お買い物当日。
重い足取りで駅前まで歩いていく。
この暑さは、少ししか無いあたしの体力を余計に奪っていく。
なんか目眩までしてきた気がする。



「 未弥早く〜! 」



人混みの中で一際目立つ声を聞きそっちの方へ足を動かす。
そんなはしゃげるテンションじゃないし体力も無いんだけどな。




「 遅くなってすいませんでした 」



下を向いたまま溜め息混じりにそう言った。
汗を拭きながら顔を上げる。



「 え? 」




あれ、ついに幻覚まで見えるようになっちゃったのかな?
晴と一樹が居る気がするんだけど?



「 あ、今日はこの2人も一緒なの 」



ふざけんな!って叫んでやりたいけど無だな体力を使いたくない…


はあ、梨杏の考える事だもん有り得なくは無いよね…。


 



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