HEAVEN
香りとナイフ。

「聞いた?まりが辞めるって話」

「聞いた聞いた。
りさの件で精神的にやられちゃったんでしょう」

「あんな今まで無断欠勤繰り返して
よく辞めるだなんて言えるわね」

「し…来たわよ」



今日は私の最後の出勤の日。

ロッカーは相変わらずの盛況ぶりだ。

「すいません…ちょっと通して頂けます?」

ロッカー間は
人が一人通り過ぎれるくらいの狭さ、


私のロッカーまでは五人も過ぎなければならない。


「まり…あんた辞めるんだってね」

「え…ああ…はい」

私は頭をへこへこしながら
ゆっくりと足を進める。

「聞いた話じゃ…りささんの自殺する直前まで…一緒にいたとか」
< 21 / 50 >

この作品をシェア

pagetop