勉強会課題
第2回「ゆきの散歩道」その2
街から一歩外れたこの道には、赤と白のうざったい装飾も

やたらと鳴り響くジングルベルもありはしなかった。

薄く積もった雪は、舗装された道も、葉を落とした木々も、脇にあるベンチも

一様に白く色づけてはいたが、軽く細かい粉雪は少しの風でその陣地を明け渡していた。

病院から見えるこの道を、妻は歩いてみたいといつも言っていた。

春は暖かな日差しの中で乳母車を押した母親が

夏は照りつける太陽から守るような木々の下を子供達が

秋は舞い散る落ち葉の中を若い二人が

その散歩道を幸せそうに歩いているのを、病室の高い窓からじっと見ていたのだと、そう言っていた。

薄く雪の積もった冬の道を、私と歩いてみたいと、そう言っていた。


なあ百合恵。こんな道、お前が思ってるほどいいもんじゃないぞ。


足元に視線を落とすと、白い道に穴を穿つ様に涙が落ちた。

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