魔女の瞳Ⅴ
第一章
日本の南に位置する、渡蘭市という街。

裏の世界じゃちょっと有名だったりする。

つい先日、大きな抗争があったそうだ。

勿論人外同士の抗争。

その街は昔から『血濡れの楽園(エデン)』と呼ばれる亜吸血種の集う土地。

エクソシストの連中に追われた吸血鬼が、そのままその土地で亜吸血種に進化したらしく、以来渡蘭市は、文字通り亜吸血種の楽園となっていた。

とはいっても亜吸血種も一枚岩じゃなかったらしい。

杖縁、出碧、野須平という三つの名門の家系が小競り合いを繰り返していたらしく、血の雨の降らない夜はないとまで言われていた。

で。

つい先日の抗争で、その鬱陶しい小競り合いもめでたく終結。

二転三転とする戦局の末、出碧家が渡蘭市を掌握。

現在では出碧の若い娘が仕切っているという話だ。


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