スノウ

ダイヤモンド

キラキラ輝く小さなダイヤモンドが私の薬指に輝いている。



「これ…。」



驚きと喜びで言葉が出ない。


「スペインについて来て欲しいんだ。」


目の前で優しく微笑みかける恋人。

このレストランでは良く食事したが、今日はいつもと違う。
コースも心なしかいつもよりリッチだったし、ワインもいいワインだった。

自動車メーカーの海外事業部につとめる隼人。
会社でも将来を期待されている有望株。
この5年間、寂しさを乗り越えながら、2人の距離が離れないよう努力してきた。

その努力が今報われたのだ。


キラキラ輝くダイヤモンドに目が眩む。



「みちる、ぼくは」



嬉しさのあまりにやけてしまう。


「なあに」


何か隼人の顔色が青い。
緊張しているように見える。




「みちるとは結婚はできない」
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