僕と平安貴族の五日間
あれ、マキだよね?


 僕は、タケル。


 普通の大学2年生だ。


 中肉中背。


 顔も中の中。


 今、彼女はいない。


 バイトは居酒屋で、毎晩ゲロ掃除をしている。


 一人暮らしで、っても、実家は神奈川のど田舎。


 通えるっちゃ、通えるけど、


 長時間の電車とか、無理。


 家は昔からの大きな農家で、


 金はそこそこあるから。
















 って、そーじゃなくて、



 僕は3限のゼミ、


『平安貴族の雅な恋愛事情について』


 という、ふざけたネーミングのレポートを


 女友達のマキにつき返そうと、


 大学の構内を走り回っていた。


< 1 / 81 >

この作品をシェア

pagetop