僕と平安貴族の五日間
殿と出会って2日目


 僕は大学のカフェテリアにいた。


 マキは1時間目から必修が入っていたので、


 殿に何もしないように散々言い聞かせて、


 大教室の後ろ、


 マキの友達から遠い所に座らせた。




 そして、神様、どうして、


 女という生き物はこうも面倒なんだろう。


「ちょっと!!タケル!!


昨日はどうしたのよ?


さっきチラッとマキ見たんだけど…


あれ、昨日とおんなじ服だよね?」


 そうか!女はそういうの気にするのか!!


 そこまで気が回らなかった…!!


 レイカはカップのホットコーヒーを飲みながら、


 隣のハヤトとアイコンタクトをした。


 お気づきだろうが、二人は付き合っている。


「いや、マキが書いてくれたレポートがちょいと問題で…」


 僕がしどろもどろ言うと、ハヤトが助け舟をだす。


「でも、タケルはそうなったら、


ちゃんと俺らに言ってくれるだろ?」


 そう、ハヤトとレイカを去年の文化祭でくっつけたのは


 まぎれもなく僕と、マキだ。


「あ、あたりまえじゃん!!


でも、マキはないって!!」


 と苦笑する僕。


 レイカはふーんと腑に落ちないように言った。


 僕は腕時計をチラッと見た。


「どうしたの?」


 レイカのネコ目が面白そうに僕の表情を伺っている。


 僕が気になっているのは、


 マキじゃなくて、


 殿だってば!!!


「次、授業だから、行くワ」


 と、僕は片手をあげて、カフェテリアを後にした。





 
< 20 / 81 >

この作品をシェア

pagetop