甘いあまい☆マーマレード

 惺さんは、こうも言ってくれたの。


 「折角、才能が開花されたんだからそれをこれから磨いていったら?」

 「才能? 私何も取り柄ないですよ?」

 「何言ってるの、それ。」


 彼の指差す方向に目を移すと、包みがボロボロになりかけている例のものが急に自己主張しだした。


 「写真?」


 飛行機雲なんて在り来たりなのに……


 「そうだよ。俺らほとんど落選。五十嵐さんと部長だけがかろうじて入選してたかな?」


 もう一度パネルにされた写真をじっくり眺める。

 空に一本の飛行機雲とその端に風船?


 「そ、そうなんですか? きっと、たまたまですよ? 風船が写ってたなんて偶然ですから」


 さっきは気がつかなかったのになぁ


 「ううん、そんな事ない。偶然でもあそこまでキレイに風船を撮るのは難しいよ? 自信持ちなって」


 あまりにも力強く言われると否定できなくなるよ。

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