戦国遊戯
幸村の目が潤んでいるように見えた。
これ以上、私が何かを言えば、幸村が余計に苦しむ。

「うん、ごめ…じゃなくて」

また、ごめんねと言いそうになって、慌てて口をつぐんだ。

「ありがとう、幸村さん」

そう言って、精一杯の笑顔を見せた。幸村も微笑んでくれた。

馬に乗せられる。玲子を乗せると、その後ろに、幸村が乗った。幸村は、さくらが玲子の荷物を持っているのを確認すると、馬をだそうとした。

「玲子!」

慶次の声が聞こえてくる。

「また、会おうぜ!」

後ろを振り返ると、手を振っている慶次の姿が見えた。玲子は、返事はせずに、ただ、少しためらいがちに、手を振り返した。

「はっ!」

信玄が馬をだした。幸村、さくらとも、その後に続いた。



こうして、玲子の誘拐事件は幕を閉じた。
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