戦国遊戯
「……!」

暗さに目が馴れてきた。
と、同時に、自分のとなりに、眼帯男の顔があった。


綺麗な顔…まつ毛ながっ!じゃなくって、近い近い!!


軽いパニック状態だが、それでも、相手のただならぬ雰囲気にあてられたか、少しだけ、冷静な自分に、玲子は戻れた。

そっと手をどける。男の顔が玲子に向くと、男に向かって口をパクパクさせた。

【ナニカイルノ?】

男はこくんと頷いた。
そして、玲子にはまた、確信にも近い、ある予感がした。


こないだのアイツラだ。


隣にいる人を巻き込むわけには、と思ったその時、目の前で火花が散った。足元には見覚えのあるクナイが叩き落とされていた。

「はっ!飛び道具なんざ使わずに、堂々とこいよ!」


なぁ!?何言って!?


あわてるが、時すでに遅し。

男は玲子を庇うような形で、目の前にいきなり現れた忍からの一撃を、刀で受けていた。


…上!!


嫌な感じが上からした。まるで当たり前のように、脇差しを上に上げると、ぎぃん!と、鈍い音が響いた。

「くっ…」

体が反射的に動き、脇差しを上にして、攻撃をはじいた。が、とっさのことで、バランスを崩し、その場で倒れ込む。
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