戦国遊戯
なんで、こんなことになるのよ!?

気づけば、幸村に押し倒されるような体制になってしまっている玲子。さっきまでは、田中君の話をしていたはずなのに、なぜか気づけば、政宗とのことを問い詰められるような形になっていた。

「玲子は、その。政宗のことを好いているのか?」

「な、ななな…なんでそんな」

幸村の口から、政宗を好きかどうかを聞かれるとは、思ってもいなかった。急になぜそんなことを聞かれるのか、軽いパニック状態だ。

「玲子があの場に行っていたのは、政宗との逢瀬のためなのか?」

冷静に考えれば、そんなはずはないだろう、とわかるようなことを、幸村は真剣な表情で聞いてくる。

「そ、そんなわけないでしょ!?ほんとに、こないだ初めて、たまたま会ったの!」

「だが、奥州の筆頭が、なぜ甲斐の国にいるのだ!?」

「いや、そんなことは私に聞かれても」

知らないものは知らないのだ。聞かれても答えに困る。が、幸村も何かテンパッた様子で、玲子をじっと見つめていた。

「玲子、お主に会ってからというもの、何か変なのだ。俺は、俺は…」

そう言うと、幸村の顔がどんどん玲子に近づいていった。

「ちょ、ゆっきー!?」


まさか、キスされる!?


この数日間で、どんだけいろんなことが起こるんだ!と、慌てふためく玲子。じたばたとするが、幸村に押さえられている腕を解くなど、とてもじゃないけど簡単にできることではなく、むなしく手がひらひらと動くくらいだった。


ゆっきーのこと、嫌いじゃないけど、こんなのはなんかヤダ!


「ゆっきー!あそこに誰かいる!」

口からでまかせ。幸村を止めるには方法が他にない!そう思って叫んだところ、本当に、庭に1人の姿がふっと現れた。

「若、お楽しみのところ、申し訳ございません」

才蔵の姿に、幸村は慌てて玲子から飛びのいた。玲子はほっとしたものの、本当に人がいたんだと、びっくりする。
< 208 / 347 >

この作品をシェア

pagetop