戦国遊戯
「玲子が悪いわけじゃねーのにな。俺もまだまだ餓鬼ってことか」

ぽんぽん、と、玲子の頭を叩くと、玲子はふっと安堵の息を漏らした。

「…だが、消毒は必要だな」

そう言って、政宗は、玲子にそっとキスをした。
今までのような強引で激しいものではなかく、とても優しい、暖かなものだった。

「ま、今回はこれで我慢するか」

にっと笑う政宗を、玲子はボーっと見つめた。


「玲子!慶次と祝言を挙げるというのは本当か!?」

ばん!と襖が開いた。そこには藤吉郎の姿があった。

「藤吉郎さん!久しぶり!」

藤吉郎の後ろには、慶次の姿があった。

「藤吉郎さんを呼びに行ってたの?」

慶次に聞くと、バツの悪そうな顔をしながら、いや、と首を横にふった。

「いやなに、城の中をうろうろしておったらな、慶次が嫁を連れてきていると、あちこちで話が出ておってな!で、探しておったら、ちょうどそこの廊下でばったりとな」

ニコニコしながら藤吉郎が答えた。

「しかし…前は友達だと言っていたが。やはり、くっつきおったか!祝言の時には、絶対に呼べよ!」

藤吉郎がけたけたと笑った。慶次は頭を抱えている。

「そ、それより藤吉郎さん!お城の中をうろうろしてたって言ってたけど、何か用事があったんじゃないの?」

話題をそらそうと、玲子が藤吉郎に言うと、さっきまで笑っていた藤吉郎が、一転して、ずんと暗く沈んだ。


えぇ!?な、何でよ!?


「すべてはあいつのせいだ!あやつがきてから、わしは…!」

藤吉郎の言葉を聞いて、慶次が言っていた言葉を思い出した。


…しまった、地雷踏んだ。


気づいたときには、時、すでに遅し。藤吉郎はずんずんと沈んでいった。

「えっと、ほら!せっかくのお祝い事なんだし!ぱぁっと飲みに行こうよ!藤吉郎さん!」

玲子が藤吉郎にそう言うと、藤吉郎も顔をあげ、そうだな!と言って立ち上がった。

「そうと決まれば、ほれ!慶次も、行くぞ!」

苦笑いを浮かべる玲子に、慶次と政宗はため息をついた。
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