戦国遊戯
「ゆっきー。お布団敷けたよ」

縁側に座って、空を眺めていた幸村に声をかける。幸村は玲子の腕をつかんで引っ張った。玲子は少しバランスを崩し、幸村に寄りかかるようにしてその場にぺたんと倒れこんだ。

「どうしたの?」

上ずる声で玲子は幸村に聞いた。幸村は玲子の頭をそっと撫でながら、ただじっと、空を見ていた。わけがわからず、玲子が混乱していると、幸村はボソッと呟いた。

「ずっと、ここに居てくれよ?」

その言葉に、心臓がトクンと鳴った。


自分の居るべき場所。帰るべきところ。

玲子だってわかっていた。

ここに居てはいけない。
自分は、元の世界に戻らなければならない。

そしてそれは、幸村との別れとなることも。


「ね、ゆっきー」

「なんだ?」

幸村のお願いは、玲子の願望でもあった。
玲子も、この世界から、幸村の側から離れたくない。

ずっと、側に居たい。

「今日、ゆっきーと一緒の部屋で寝てもいい?」

玲子がこてん、と幸村の肩に頭をのせた。幸村の体が、一瞬ピクリと動いた。

「…よいのか?」

幸村に聞かれて、玲子は少し顔を赤らめながら、黙って頷いた。
そっと、玲子の額にキスをする幸村。

玲子の胸が、また、トクン、と音を立てた。
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